北京北東部の燕山山脈にある金山嶺長城と司馬台長城は、明代(1368〜1644年)の名将戚継光が率いた十万人の軍隊より、万暦6年(1578年)から2年間で築きあげたものである。電気機械が無かった当時は、これほど大規模な工事が完成できたのは、人間の知恵と能力を示す傑作とも言える。
金山嶺長城あたりでは、200〜400メートルの間隔で見張台(「望楼」)が次々と城壁の上に建てられ、そのうち、正方形のものもあれば、円形のものもある。見張台が高密度かつ造形多様化との2大特長をもつ金山嶺長城は、万里の長城の代表的な景勝地とも言える。
司馬台長城入り口からの東コースは2.4キロしかないが、標高は295メートルからいきなり986メートルに上がり、その最高峰の絶壁に「望京楼」という見張台が建てられ、司馬台長城の険しさと雄大さが一目で分かる。また、望京楼の手前に階段が急に上がり、「天梯?天に繋がる梯子)と呼ばれるところも極有名。司馬台長城あたりの城壁は地勢にあわせ、巧妙に建てられ、幅5メートルぐらいの広いところもあれば、一面壁(「戦壁」、幅60センチ位)だけの狭いところもある。城壁両サイドの上部の壁は防衛のために、投石・射撃用の窓口の配置数や狙撃壁の向きもそれぞれ異なる。
金山嶺と司馬台あたりの明代長城は北京現存の長城遺跡の中、もっとも保存状態がよいところなので、延々と曲がりくねった金山嶺と司馬台長城でハイキングするには、身の動きに伴い、城壁と望楼の姿と山風景も変わりつつであるため、どんどんシャッターを切ることになる。しかも、万里の長城に関する素晴らしい写真の多くは、この金山嶺と司馬台長城で撮ったものである。
金山嶺長城と司馬台長城のいずれも、北京から130キロ以上離れるため、北京エリアの他長城観光地より観光客が少なく、風景観光または長城ハイキングに最適。(北京天安門広場までのおよそ距離:居庸関長城60キロ、水関長城70キロ、八達嶺長城80キロ、慕田峪長城90キロ)
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